2011年11月24日

原告提出訴状B(最終)


 4 原告が被った損害
   被告らによる平成21年12月4日の街宣活動、翌年1月14日の街宣活動、同年3月28日
  の街宣活動によって、それぞれ原告は有形無形の甚大な損害を被っている。これらの損害は金銭
  で償えるものではないが、これを金銭的に評価すると、街宣活動ごとに、それぞれ少なくとも金
  1000万円を下らない。
 5 人格権に基づく差し止め請求権
  (1) 原告の人格権
    原告は学校法人であり、民族教育事業を行うこと目的としており、その範囲内で人格権を有
   する。
    具体的には、原告は人格権として平穏な環境で民族教育事業を実施する権利を享有するもの
   といえる。この権利は、子どもの学習権を具現化するために欠くことのできない権利であり、
   子どもの学習権の重要性に鑑みれば、平穏な環境で民族教育事業を実施する権利自体も極めて
   重要な権利であると評価することができる。特に、日本国内で在日朝鮮、韓国人等の民族教育
   を行う教育機関は限られており、原告の平穏な環境で民族教育事業を実施する権利が侵害され
   ると、京都府下の在日コリアンの子どもたちが民族教育を受ける機会は事実上永久に奪われる
   ことにもなりかねない。その意味で原告の平穏な環境で民族教育事業を実施する権利は特段の
   重要性を帯びるものというべきである。
  (2) 人格権の侵害
    本訴状第2の3記載の被告らの行為は、いずれも、第一初級学校において児童に民族教育を
   施すために必要な平穏な環境を奪うものである。
    それだけでなく、被告らの街宣活動等は、悪意に満ちた極めて攻撃的な文言を用いて、かつ
   暴力的な態様で行われるため、原告の教職員がその監視や下校する児童の見守り等に当たらね
   ばならず、原告の民族教育事業の遂行に物理的困難をも与える。
  (3) 被告らによる今後の原告の人格権侵害のおそれ
    被告らは、既に平成21年12月4日、翌22年1月14日及び3月28日の3回に亘って
   第一初級学校に対して攻撃的行動を仕掛けており、その後においても被告らの関係者がたびた
   び第一初級学校周辺をうろつき、同校の周辺や敷地内の様子を伺う姿が確認されている。特
   に、前述の通り、平成22年3月28日に実施された街宣活動は、同年3月24日付で被告在
   特会、被告A、被告Bによる街宣禁止等を定める仮処分決定が発令されたことを、ことさらに
   無視して行われたものである。そして、被告在特会の代表者である桜井誠は、当該仮処分決定
   を受けてなお、「反日教育を推進する犯罪者の巣窟、子どもの未来を奪う児童虐待を継続して
   行っている朝鮮学校を一日も早く消滅させるため、在特会はこれからもまい進して参りま
   す。」と、ブログ上で宣言している(甲7)。
    また、平成22年2月10日には、京都弁護士会 が発表した平成21年12月4日の被
   告在特会らによる上記街宣活動を批難する「朝鮮学校に対する嫌がらせに関する会長声明」に
   対して、被告B、被告A、被告D、被告Eらは京都弁護士会館前に集まり、「京都市弁護士会
   会長村上豊昭は土下座せよ」(原文ママ)などと書かれた横断幕を持ち、拡声器を用いて京都
   弁護士会と原告を誹謗中傷する過激な街宣活動を行っている。
    さらに、平成22年6月3日には、被告A、被告D、被告E、被告Cらは、本件訴訟並びに
   関係事件に関連して被告Aの戸籍謄本を、原告代理人に対して交付した右京区役所に対して、
   街宣活動をかけ、拡声器を用いて大音量で「ほんまにな、これ以上やったらな、俺もな、…す
   る仕事16年やっとったからな、徹底的に個人の家調べてチョメチョメするかもしれんど、ほ
   んまに。覚えとけよ。」「バカタレが、コラ、アホ。」「また来るぞ、右京区役所。きっちり
   けじめつけたるからな。覚えとけよ。」等と述べている。
    さらに、被告らがこれら以外にも、在日コリアン社会に対して、執拗な攻撃行動をとり続け
   ていることは、後記第3の関連事実記載の通りである。
    以上のような状況に鑑みれば、今後も被告らの街宣活動等によって、人格権侵害が成される
   おそれは十二分に認められるところである。

第3 関連事情
 1 被告らによる在日コリアン社会への攻撃
   以下のとおり、被告在特会及び主権回復を目指す会(被告B)の構成員による在日朝鮮人への
  常軌を逸した街宣活動等の攻撃行動は、執拗に繰り返されている。平成22年に入ってから京都
  で行われたものだけをピックアップしても、以下のとおり10件にも上る。
  ア 1月14日 第一初級学校付近(前出)
  イ 1月16日 ひと・まち交流館前(河原町五条下る)
    参加者:被告E、被告F、被告D
  ウ 2月10日 京都弁護士会館前(前出)
  エ 3月6日 京都コリアン生活センター(通称エルファ 在日コリアンのための高齢者施設)
    参加者:被告A、被告E、被告D、被告F、被告H
  オ 3月9日 朝鮮総連京都府本部(予告なしに行われた)
    参加者:被告A、被告E、被告F、被告D、被告H
  カ 3月19日 洛南ショッピングセンタージャスコ前
    参加者:被告A、被告F
  キ 3月28日 第一初級学校付近(前出)
  ク 3月28日 四条河原町付近
    参加者:被告D、被告H
  ケ 5月2日 京都市役所前〜円山公園
    参加者:被告A、被告E、被告D、被告H
  コ 6月3日 右京区役所前(前出)
  サ なお、被告在特会・主権回復を目指す会(被告B)の構成員ないし支援者らは、京都以外の
   地でも常軌を逸した街宣活動等を繰り返している。特に、平成22年4月14日に徳島県教育
   会館を突然襲撃した際の悪質さは際だっており、同日の参加者ら8名(被告A、被告D、被告
   Eを含む)は突然建物内部に侵入し、対応した職員の耳のすぐ前で、拡声器を用いて怒号・脅
   迫を繰り返し、110番通報しようとした職員の手から無理矢理電話機を取り上げるなどの暴
   行を働いた。参加者の怒号や脅迫は、警官隊が到着した後も止まなかった。同日の参加者8名
   は、建造物侵入罪・威力業務妨害罪等の被疑事実で告訴されてい
   る。

第4 本件事件の社会的影響
   本件事件における被告らの街宣活動等は、市民運動名下に社会から在日コリアンという少数者
  に対し、公然と差別的言動による嫌がらせを加え、これを排撃しようとする排外主義的活動であ
  る。在日コリアンや在日中国人等に対するこのような攻撃は、昨今、日本国内に蔓延しつつあ
  る。本件事件はその代表格で、国会でも問題視され取り上げられるに至っている。
   一方で、昨今の国際情勢や社会情勢を受けてか、インターネットの世界では、被告らの活動を
  支持する旨のコメントが多数つけられている。被告Hなどがアップロードする街宣動画が映し出
  す、被告らが大音量で原告を誹謗・中傷するシーンに対して、これを支持し、扇動する大量のコ
  メントがつけられているのである。これらのコメントのうち相当数は被告らまたはその関係者に
  よるものの思われるが、そうでない者によるコメントもまた、相当数あるであろうことは看過で
  きないところである。また、被告在特会はそのホームページ上の発表によると、その会員数を9
  000名にまで伸ばし、本件事件を起こしてからも勢力を拡大し続けている様子である。
   子どもや少数民族といった社会的弱者を誹謗中傷し、これを社会から排撃しようとする、違法
  かつ非人道的な被告らの街宣活動が、一種のカタルシスをもたらすものとして社会に受け容れら
  れようとしているものとも思える。このような現象は、現代において前例のない病理的現象であ
  る。
   被告らの街宣活動の違法性は明らかであり、その責任は今、徹底して明らかにされるべき必要
  がある。言論活動名下に行われているからといって、決して放置されることがあってはならな
  い。放置すれば、被告らの活動に代表される病理的現象は瞬く間に蔓延してゆき、少数者の人権
  が顧慮されない社会を招くことになるのではなかろうか。
   そのような社会においては、少数者の自己実現手段の一つである、原告による在日コリアンに
  対する民族教育事業は、消滅を余儀なくされる。
   このような状況下において、少数者の人権保障最後の砦たる司法が担うべき責任は、極めて重
  い。原告は裁判所に対して、在日コリアンという少数者に対する社会のあるべき姿を問うもので
  ある。

第5 よって、原告は、請求の趣旨記載の判決を求めるものである。
                                   以 上
               証 拠 方 法

甲1      会則(在日特権を許さない市民の会)
甲2      趣旨挨拶文(主権回復を目指す会)
甲3      新聞記事
甲4      動画DVD(平成21年12月4日分)
甲5      動画DVD(平成22年1月14日分)
甲6      動画DVD(平成22年3月28日分)
甲7      桜井誠(在特会代表者)の運営ブログ(平成22年3月28日の 街宣活動に関す
        る記事)



               添 付 資 料
         1 訴状副本         10通
         2 甲号証写し       各11通
         3 資格証明書         1通
         4 委任状           1通

posted by こるむ at 00:00| 裁判資料 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。